UiPathを知っている人に「StudioXと言えば?」と聞いたら、プロジェクトノートブックの存在を挙げない人はまずいないでしょう。
今回は、プロジェクトノートブックの基本的な設定方法や、予め用意されているサンプルデータについて解説します。
StudioXに必要不可欠なプロジェクトノートブック、是非この記事で知識を深めていってください。
この記事では、
プロジェクトノートブックって何?
ノートブックの基本的な使い方は?
ノートブックに色々式が書かれているけど、それについて教えて。
こちらにお答えしていきます。
もくじ
プロジェクトノートブックとは
新しくプロジェクトを作成した時、それと同時にExcelファイルが自動的に作成されます。
作成されたExcel、つまりノートブックには、どのような役割があるのでしょうか。
例えば、設定値をノートブックに書き込んでおき、処理中にその値を参照することに用います。
或いは、複雑な計算や複雑な文字の加工などをExcelの関数で出力する場合にも使いますね。
更には、データの一時的な記憶場所として書き込んでおくなど、いわば、そのプロジェクトの「メモ帳」や「計算機」のような役割を担ってくれます。
Excelであることのメリット
まずは、Excelが世界で最も利用されているソフトウェアであること。
つまり、使い方を知っている人が他のどのソフトよりも圧倒的に多いという事です。
それであって、かつ、Excelには様々な関数(数式)が用意されているため、計算や文字簡易的な編集など汎用性に優れています。
この長所をStudioXで活用できるようにしたことで、RPAプログラミングのハードルが大幅に下がりました。
とはいえ、Excelにも弱点がないわけではありません。
数式が複雑だったり、データ量が多くなると、処理スピードが遅くなります。
もちろん、どのシステムでもデータが多ければそうなるんですが、Excelはその限界値が低いということです。
大量のデータには向いていないと言うことですね。

他のExcelよりもちょっと特別扱い
StudioXには、Excelを操作するアクティビティが豊富にありますが、プロジェクトノートブックもExcelアクティビティを使ったデータが編集可能です。
プロジェクトノートブックと他のExcelファイルで違うのが、通常Excelは[Excelファイルを使用]リソースが必要なのに対し、ノートブックはリソースの指定が不要だということ。
・通常のExcel
・プロジェクトノートブック
そのおかげで、プロジェクトのあらゆる場所から、ノートブックの値を呼び出すことが出来るんです。
ノートブックの値はプロジェクトのどこからでも呼び出せます。
ノートブックの設定
新しくプロジェクトを作ると、自動的にノートブック"Project_Notebook.ja.xlsx"が作成されます。
では、このノートブックの設定方法について説明しましょう。
ノートブックを開く
ノートブックを簡単に開けるよう、リボンに[ノートブック]のアイコンが配置されていますね。
クリックすると、ノートブックが開きます。
ノートブックを変更する
自動で作成されたノートブックをそのまま使うことも出来ますが、自分で作成したExcelファイルをノートブックとして利用することも出来ます。
変更手順はこちら。
「わざわざファイルを別に用意する必要があるの?」もしかしたらそう思うかもしれません。
ですが、StudioXに使い慣れてくると、自分の扱いやすいようにデザインしたオリジナルのExcelが必要になることがあるはずです。
或いは、複数のプロジェクトで共通のノートブックを使いたいという場合に、設定を変更するケースもあるでしょう。
[変更を保存]は非推奨
[変更を保存]をチェックONすることで、StudioXからノートブックに書き込んだ値を保存することが出来ます。
ただ、UiPathとしては、ノートブックに書き込んで保存するという方法はお勧めしていないはずです。(きっと)
ノートブックは、予め用意した値を記入しておくものですが、処理の結果を保存するファイルとして利用してしまうと、都度更新日時が書き換えられることになります。
ノートブックが、いつのファイルが最新なのか分からなくなるため、管理する上で望ましくないですね。
メモ
[変更に保存]は、チェックOFFのままがいいでしょう。
ノートブックの値を利用
ノートブックの値は、[デザイナー]パネルに追加したアクティビティの設定値として利用されます。
設定の方法は3つあります。
ノートブックの値を利用
- [名前の定義]から選択
- [Excel内で示す]
- [カスタム入力]
詳しく見ていきましょう。
[名前の定義]から選択
ノートブックで、予め名前が定義されたセルは、メニューから選択出来ます。
「[名前の定義]って何?」という場合は、こちらの記事が参考になるでしょう。
UiPath StudioXのプロジェクトノートブック2【カスタマイズ編】
[Excel内で示す]
ノートブックを開いて、参照するセルを直接指定します。
値を確認したり、編集しながら作業できるので、上記の手順もよく利用するでしょう。
[カスタム入力]
シート名やセルを、直接入力する方法です。
手入力は入力ミスすることにも繋がるため、基本的にはお勧めしません。
とはいえ、シート名が多くなったり、名前の定義が多くなった場合は、手入力してしまった方が手っ取り早いこともあります。

ノートブックのサンプルシート
ノートブックを開くと、6つのシートが既に用意されていますね。
- ・スクラッチパッド
- 日付
- テキスト
- 数字
- ファイル
- プロジェクトノートブックについて
そのうちの4シートには、サンプルの値や数式が記載されています。
使用されている関数については、Excel専門の記事に譲るとして、ここでは、分かりにくい数式や注意点についてまとめました。
[日付]シート
日付の値が入力されたセルの注意点
日付が入力されたセルを、そのままStudioXに渡すと、期待通りの表示になりません。
例えば、"=TODAY()"で今日の日付を取得したセル(B4)を、メッセージボックスで表示させてみましょう。
実行結果は、このようになります。
アメリカ式(月/日/年)の日付表示になりました。
これだと日本人の僕たちにはなじみのない順番なので、読みにくいですよね。
期待通りの表示にするためには、TEXT関数を使って表示を変更する必要があります。
ノートブックのサンプルでは、"yyyy-mm-dd"になるように設定され、"今日の日付"(B6)という名前で定義されています。
TEXTで置き換えた値をメッセージボックスで表示すると、TEXTで指定したとおりの結果になります。
結果はこちら。
これは、ノートブックの値を[メッセージボックス]アクションなどで、テキスト表示させる場合に必要です。
ノートブックの値を受け取って、更にStudioX上で計算する場合には、TEXT関数で書式変換する必要はありません。
例えば、[日付を変更]アクションなどに値を渡す場合は、"日付"(B4)の値をそのまま使っても問題ないでしょう。
ノートブックの値をメッセージで表示する場合のみ、TEXT関数による変換が必要です。
稼働日の計算には祝祭日が設定されていない
[稼働日数が追加された後の日付]について、この式では土日のみ休みと設定されています。
祝祭日は無視されています(指定されていない)ので注意しましょう。
[テキスト]シート
色んな形にテキストを加工する数式が載っています。
"姓"に組まれている式
ちょっと分かりにくいのが、"姓"の式でしょう。
この式は、対象のテキストを空白で区切り、その一番右側の単語を取り出しています。
テキスト"John C. Doe”が空白で区切られ、一番右を抽出するから、"Doe"になるわけです。
例えば、テキストが"Boys and girls, be ambitious"だったら、"ambitious"ですね。
左揃え/右揃えのテキストって?
もうひとつ、D:F列:の範囲も分かりにくいのではないでしょうか。
これは、テキストに対して、左側(D列)と右側(E列)に指定した文字の間の文字を取得しています。
"左揃え/右揃えのテキスト"というのは、恐らく翻訳ミスではないかな?と。
"左側/右側のテキスト"という解釈した方が適切なようです。
[数字]シート
クリーンアップとは
"クリーンアップ済みの結果"(B5)では、"数字"(B4)から余計なゴミとなる特殊なコードを取り除いています。
そうすることで、Excelが数字を正しく認識するようになります。
具体的には、この式を通すと、改行やWeb上の空白( )を取り除いてくれるわけです。
とはいえ、サンプルにある"数字"(B4)には、改行も空白も入っていないので、実際にはクリーンアップ前後で違いがありません。
そこで試しに、"数字"(B4)に改行を含めてみましょう。
”クリーンアップ済み"(B5)は、問題なく数値として認識できていますね。
もし、クリーンアップせず、B4の値のまま計算すると、"整数"(B6)や"小数点第2位"(B7)の結果はエラーとなってしまいます。
システム上では、Web上の空白とExcelの空白とは別物として扱われています。つまり、この式ではExcelの空白は取り除かれません。
[ファイル]シート
[ファイル]シートでは、特筆する難しいものはありません。
"ファイル名"(B8)や"拡張子"(B9)を取り出す際に、[テキスト]シートの"姓"と同じテクニックが使われていますね。
(補足)[スクラッチパッド]シート
[スクラッチパッド]は、一時的に値を記録させておくために用意されているシートです。
あらかじめ独自の式を作っておき、StudioXから値を渡して計算させるなどの方法が、UiPathからお勧めされている使い方です。

まとめ
いかがだったでしょうか。
まずは、ノートブックのサンプルをいじってみて、使い方を確認していくといいでしょうね。
ノートブックを使いこなせるようになれば、プログラミングが必要だったはずの計算を、Excel数式で済ませてしまうことも可能です。
開発のハードルを大きく下げてくれる、素敵な発想ですよね。
まとめます。
まとめ
- ノートブックは自分の用意したExcelに変更することも可能。
- アクティビティに値を設定する方法は3パターン。
- サンプルシートには実用的な式が紹介されているので要チェック。
プロジェクトノートブックの参照方法を理解したら、次は、カスタマイズ方法について理解していきましょう。
UiPath StudioXのプロジェクトノートブック2【カスタマイズ編】
この記事で、何か1つでも新しい発見が得られたのなら、僕もうれしいです。