メールを自動化するにあたって、ほとんどの場合において[繰り返し(各メール)]アクションは必須になるはずです。
また、メールを読んだ(処理した)かを切り分けるため、未読/既読を切り替えることも大切でしょう。
上記2つのアクティビティと、メールから添付ファイルを取り出す機能についてまとめました。
この記事では、以下のアクティビティについて解説します。
制御・抽出のアクティビティ
- 繰り返し(各メール)
- メールを既読/未読にする
- メールの添付ファイルを保存
本記事では、デスクトップ版Outlookのリソースをもとに解説を進めます。
もくじ
繰り返し(各メール)
指定したフォルダー内の各メールに対して、含まれるアクティビティを1回ずつ繰り返します。(ガイドはこちら)
受信トレイ(フォルダー)から、フィルターなどの条件に合うメールを1件ずつ読み取りながら、処理を繰り返します。
読み取ったメールを、[ここにアクティビティをドロップ]内に組んだアクティビティで、連続で処理していきます。
ここでは、以下の項目について解説します。
- 繰り返し
- 対象フォルダー
- メールの上限数
- 追加フィルター
- 未読メール
- 添付ファイルがある場合のみ
- サブフォルダーも含む
繰り返し
現在の周回の、メール情報を記憶する名前を指定します。
既定では"CurrentMail"ですが、必要に応じて意味を表す名前に変更するといいでしょう。
なお、メール情報には、"件名や"本文"、"宛先"などを含みます。
対象フォルダー
メールを検索するフォルダーを指定します。
下の方に2つ、ちょっとユニークな項目がありますよね。
これは、Outlookのみに表示される項目です。
[選択されたフォルダー]は、予めOutlookを起動しておき、検索したいフォルダーを選択しておきます。
選択した状態で自動化処理を実行すると、そのフォルダーが検索の対象となります。
[選択されたメール(複数)]は、処理するメールを複数選択して、繰り返し実行します。
Gmailでは、受信トレイ=INBOX、送信済み=SENT、迷惑メール=SPANと表示されます。
メールの上限数
繰り返すメールの処理の上限を、指定します。
初期値は100です。
ドロップダウンから"制限なし"、もしくは繰り返す件数を選択します。
自分で値を直接入力することも可能です。
追加フィルター
件名や本文、メールアドレスに対して、フィルターに指定した条件で絞り込みます。
[追加フィルター]をクリックすると、[フィルター]画面が表示されますので、条件を作成しましょう。
フィルターの種類
[+追加]で複数の条件を作成したときに、複数の条件をすべて満たすものが対象なのか、条件のいずれかを満たすものが対象なのかを選択します。
[すべての条件に一致]は、追加した条件全てに当てはまるメールが対象となります。
[いずれかの条件に一致は、追加した条件に1つ以上当てはまるメールが対象となります。
ただ、この項目はちょっと癖がありまして。
条件を追加した時点では、ドロップダウンが活性化しないんですよね。
ですが、一度[OK]をクリックして画面を閉じ、再び開きなおすと活性化します。
[フィールド]と[フィルター条件]
フィルターのターゲットとなる[フィールド]は、8つの選択肢の中から指定します。
更に、[フィールド]に合わせて、[フィルター条件]で指定できるものも変化します。
以下、一覧にまとめました。
フィールド | フィルター条件 |
---|---|
Bcc | 次を含む/含まない/次で終わる/次で始まる/次に等しい/空である/空ではない |
本文 | 次を含む/含まない/次で終わる/次で始まる/次に等しい/空である/空ではない |
Cc | 次を含む/含まない/次で終わる/次で始まる/次に等しい/空である/空ではない |
日付 | 次より新しい/次より古い/次に等しい (フィルターの値:今日/2日/3日/7日/14日/30日/90日) |
送信元 | 次を含む/含まない/ ※取り消し線の項目は、サポート外となります。 |
宛先 | 次を含む/含まない/次で終わる/次で始まる/次に等しい/空である/空ではない |
件名 | 次を含む/ |
カテゴリ | 次を含む/含まない |
フィルター条件で、サポート外となっているものを使用すると、期待どおりの処理になったりならなかったりします。

[フィールド]にある"カテゴリ"とは、Outlookの分類項目を指します。
Gmailの受信トレイにも"カテゴリ"とありますが、こちらは[カテゴリ]のフィルター対象ではありません。
未読メール
未読のメールのみ対象にする場合は、チェックONにします。
添付ファイルがある場合のみ
添付ファイルを含むメールのみ対象とする場合、こちらをチェックONにします。
サブフォルダーも含む
指定したフォルダー(受信トレイ)内に、更にフォルダーが存在する場合、チェックOnにするとその中のフォルダー内メールを含め、処理対象にします。
メールを既読/未読にする
指定したメールメッセージを既読/未読にします。(ガイドはこちら)
対象のメールを、既読、もしくは未読に変更します。
ここでは、[メール]と[マーク]について解説します。
メール
既読/未読にするメールを指定します。
メールを指定するためには、[繰り返し(各メール)]アクションを使います。
[繰り返し(各メール)]アクションにあるフィルター機能を使い、対象のメールを選定します。
そして、[繰り返し(各メール)]の中に[メールを既読/未読にする]アクションを追加します。
[メール]を見ると、[繰り返し(各メール)]に指定されている名前が自動的に反映されていますので、そのままで問題ありません。
もし、自動で入っていない場合は、[+]から対象のリソースを指定してください。
マーク
対象のメールについて、既読にするのか、未読にするのかを指定します。
メールの添付ファイルを保存
コンピューター上の指定したフォルダーにメールメッセージの添付ファイルを保存します。指定したフォルダーが存在しない場合、作成します。フォルダーを指定しない場合、プロジェクトフォルダーに保存します。(ガイドはこちら)
メールに添付されているファイルを、PC内のフォルダーに保存します。
ここでは、以下の項目について解説します。
- メール
- ファイル名でフィルター
- 保存先フォルダー
- 保存ファイルを上書き
- 添付ファイル
メール
添付ファイルを取り出すメールを指定します。
メールを指定するためには、[繰り返し(各メール)]アクションを使います。
[繰り返し(各メール)]アクションにあるフィルター機能を使い、対象のメールを選定します。
そして、[繰り返し(各メール)]の中に[メールの添付ファイルを保存]アクションを追加します。
[メール]を見ると、[繰り返し(各メール)]に指定されている名前が自動的に反映されていますので、そのままで問題ありません。
もし、自動で入っていない場合は、[+]から対象のリソースを指定してください。
ファイル名でフィルター
PCへ保存するファイル名でフィルターを掛け、対象を絞り込みます。
絞り込む条件を、”*”(ワイルドカード)と"|"パイプを使って作成します。
"*"は、「0文字以上の任意の文字」を意味します。(ちなみに、"?"は使えません。)
"|"は、「または」の意味です。
使い方をお見せした方が分かり易そうなので、いくつか例を紹介しましょう。
フィルターテキスト | 説明 |
---|---|
*.xlsx | Excelファイル |
*.xls* | マクロや旧ファイル(xls、xlsb、xlsx、xlsm など)を含めたExcelファイル |
サンプル* | ”サンプル"から始まるファイル |
サンプル*.xlsx | "サンプル"から始まるExcelファイル |
*.xlsx|*.pdf|*.zip | Excelファイル、PDFファイル、zipファイル |
サン*.xls|サン*.pdf | "サン"から始まるExcelファイル、またはPDFファイル |
*A.xlsx|*B.xlsx | AまたはBで終わるExcelファイル |
保存先フォルダー
添付ファイルの保存先のフォルダーを指定します。
対象のフォルダーが存在しない場合、フォルダーが作成されます。
保存ファイルを上書き
チェックONにすると、同じファイル名が保存先フォルダーに存在した場合、上書きします。
チェックOFFにした場合は、ファイル名に数値を付与して保存します。
添付ファイル
保存したファイルのパスに、名前を付けて記憶します。
名前を付けた後、これを利用しようとしたときにちょっと迷うかもしれません。
例えば、[Write Line]アクションで名前を選択しようとしても、表示されません。
これは、複数の添付ファイルパスを格納できるよう、リスト形式で記憶しているからです。
リスト形式とは、例えば以下のように複数のテキスト(パス)をひと固まりにするものと言えば、何となくイメージできるでしょうか。

リスト内のデータは、1つ1つ分解して読み取れば、テキストとして取り出せます。
ここで使うのが、[繰り返し(コレクションの各要素)]アクションですね。
[次のコレクションの各要素]に"Atachment_path"を指定することで、"item"に、1つずつパスが渡されます。
このようにして、リストから1データずつ取り出せば、パスを参照出来るようなります。
出力結果は、以下のとおり。
チュートリアルのすすめ
[繰り返し(各メール)]・[メールの添付ファイルを保存]アクションについて、より理解を深めるため、「チュートリアル: Outlook メールでの反復処理と、添付ファイルの保存」を読むことをお勧めします。
また、チュートリアルを読み砕いて解説しましたので、こちらも併せて参考にしてください。
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UiPath StudioXチュート読み砕き【Outlook メールでの反復処理と、添付ファイルの保存】
続きを見る
まとめ
[メールの添付ファイルを保存]では、2つの繰り返し処理が登場しました。
文章では繰り返し処理の解説が分離していますが、これを一連の処理として組めれば、メールの自動化は大丈夫ではないでしょうか。
まとめます。
まとめ
- [繰り返し(各メール)]の[フィルター条件]は、フィールドによって選択できるものが変わる。
- [メールの添付ファイルを保存]の[添付ファイル]は、リスト形式で記憶される。
この記事で、何か1つでも新しい発見が得られたのなら、僕もうれしいです。