StudioXについて学ぶ

UiPath StudioXでの操作の基本を総ざらい2【後編】

2021/05/12

StudioXのメインどころと言えば、アクティビティとプロジェクトノートブック。

それに加え、RPAの構築に欠かせない制御構造を把握すれば、基本部分は理解したも同然でしょう。

この記事は、前編と後編とで、基本操作についての全体像まとめました。

まだ前編を読んでいない場合は、先にそちらから目を通すことをお勧めします。

UiPath StudioXの操作の基本を総ざらい1【前編】

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記事編集時のStudioX - ver2021.4

アクティビティ

アクティビティとは

StudioXでプロジェクトを構築するための、最小単位の部品を指します。

アクティビティには、150以上のアイテムが用意されていて、これを[デザイナー]パネル上で連結させることによって、自動化処理を組み立てていきます。

なお、アクティビティには、[リソース]と[アクション]の2種類が存在します。

リソース

処理の対象となるアプリケーションを指定するアクティビティです。

指定できるアプリケーションは、以下の5種類です。

アプリケーション(リソース)一覧

  • Excel
  • PowerPoint
  • Word
  • アプリ/Web
  • メール

また、各リソースには、専用のアクションが用意されています。

アクション

対象に対して、処理や操作を行うアクティビティがアクションです。

アクションには、リソースとセットで利用する、特定のアプリケーション専用のアクションと、リソース内外問わず利用できるアクションの2種類があります。

リソースと、リソースとセットで利用するアクション

リソースに関係なくどこからでも利用できるアクション

リソースとアクションの配置

リソースとアクションを、[デザイナー]パネルに配置した例です。

[セルの値を読み込み]はExcel専用のアクションであるため、Excelのリソース内にしか配置できません。

[メッセージボックス]は、共通のアクティビティで、リソース内外関係なく配置することができます。

アクティビティについて理解したところで、次は操作方法について見ていきましょう。

アクティビティの操作

アクティビティを追加

アクティビティを追加するには、対象のアクティビティを選択し、[デザイナー]パネルにドラッグ&ドロップします。

追加したら、続けて必要な設定を行ってください。

設定が不足している場合は、マークが表示されてますので、それが解消するよう項目を設定すればOKです。

その他、アクティビティについて知っておくと便利なノウハウについてこちらにまとめていますので、良ければ参照してください。

UiPath StudioXのアクティビティとは【基本をマスター】

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アクティビティ追加後の設定

値を設定する項目は、アクティビティにより異なりますが、例えば、[メッセージボックス]アクションを見てみると、6つの項目から指定できますね。

ノートブック

プロジェクトごとに用意されているノートブック(Excel)から、値を選択して登録します。

ノートブックについては後述します。

クリップボードから貼り付け

他のアクティビティでクリップボードにコピーした値、もしくは、ユーザー自身でコピーした値を設定します。

テキスト

[テキストビルダー]画面で、直接文字を入力します。

テキストビルダーでは、先に紹介したノートブックやクリップボードの値などを組み合わせてメッセージを作ることも可能です。

保存された値を使用

先に保存された名前がある場合、呼び出して利用できます。

値に名前を付けて保存できるアクティビティは沢山ありますが、[後のために保存]アクションは、その1つですね。

実行時に確認

プロジェクト実行時に、メッセージボックスに表示させたい値をユーザーが手入力できます。

[数値の計算]画面で、数値を入力します。テキスト同様、ノートブックや保存した値も利用できます。

なお、数の計算には、+-×÷の四則演算が利用できます。

詳細エディターを開く

VB.NETのコードを記述できます。

アクティビティの設定について、こちらの記事でより具体的にまとめていますので、参考にしてください。

UiPath StudioX アクティビティ配置後の設定【詳細編】

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StudioXの制御構造

RPAに限らず、プログラミングには3つの基本となる処理があります。

その3つとは、「順次」「条件分岐」「繰り返し」ですが、これらの制御によって、処理の自由度が大幅に広がります。

まず「順次」は、上から下に処理が流れることを言います。

アクティビティを単純に追加すれば、それが「順次」という構造ですね。

残り2つの「条件分岐」と「繰り返し」について、その処理を組むためのアクティビティが用意されていますので、確認しておきましょう。

条件分岐とは

「もし○○なら」という条件に対して、YESとNOで処理を分岐させることです。

条件分岐の基準は様々ありますが、例えば外食に行ったケースで考えると、こんな感じでしょうか。

  • 人数は5人以上?未満?
  • 子供はいる?いない?
  • アレルギー成分は含む?含まない?
  • お支払いは済んだ?まだ?

どちらの条件に当てはまるかで、その後のアクションが変わりますよね。

このように、条件をYESとNOで分岐させるアクティビティのひとつが[条件分岐]アクションです。

[条件分岐]アクションを追加すると、以下のようなボックスが表示されます。

メモ

初期状態では、Yes(True)の分岐しか表示されていませんが、[Elseを表示]をクリックすれば、No(Else)の分岐を編集するエリアが表示されます。

条件分岐の設定

条件に利用できる設定は4つあります。

ノートブック

ノートブック(Excel)の値を条件の結果として利用します。

Excelの値にも、"TRUE"と"FALSE"があります。TRUEがYes、FALSEがNoと判断されます。

また、数値の利用もOKです。0がYes、0以外がNoですね。

Yes(Then) No(Else) 利用不可
TRUE FALSE テキスト
0以外 0

実行時に確認

処理実行中に、TrueかFalseかをユーザーにより選択できます。

条件ビルダー

[条件ビルダー]は、条件の組み立てを直感的に作ることができる画面です。

比較される値/比較対象

この2つの項目が比較されることで、条件がYes(Then)かNo(Else)かに分岐します。

判定条件

[比較される値]と[比較対象]をどのように比較するかを決めるもので、15の項目が用意されています。

[+追加](条件の追加)

複数の条件を重ねて判定する必要がある場合は[+追加]をクリックして、条件の行を追加してください。

条件が追加されると同時に、左上にボックスが追加されます。

いずれかの条件に一致(OR)

追加した条件のどれか1つにでも当てはまればYes(Then)となります。

すべての条件に一致(AND)

追加した条件のすべてに当てはまればYes(Then)となります。

詳細エディターを開く

VB.NETのコードを記述することが出来ます。

 

条件分岐には、YesNoの2択以外に、複数の選択肢を分岐できる[スイッチ]アクションも用意されています。

こちらで紹介していますので、参考にしてください。

UiPath SutioXの条件分岐【IfとSwitch】

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繰り返しとは

一連の処理について、指定回数に達するまで同じ処理を繰り返すことを言います。

ここでの「指定回数に達する」は、アクティビティによって変わりますが、例えば、以下のものを指定できます。(括弧内は指定するアクション名)

  • 指定した回数(繰り返し(指定回数))
  • Excelの表の行数(Excelの繰り返し(各行))
  • Webページのテーブルの行数(表データを抽出)
  • 指定フォルダのファイル数(フォルダー内の各ファイル))
  • メールの受信メール数(繰り返し(各メール))

[繰り返し(指定回数)]アクション

繰り返し処理の例として、[繰り返し(指定回数)]アクションを見てみましょう。

このアクティビティには、[繰り返し]と、[繰り返し(指定回数)]の項目があります。

繰り返し

[繰り返し]に指定されている"CurrentItem"には、現在の繰り返しが何回目であるかが記録されています。

処理の中で、回数を引用したい場合はアクティビティのメニューで"CurrentItem"を指定できます。

繰り返し(指定回数)(項目)

[繰り返し(指定回数)](項目)には、繰り返しを何回行うかを指定します。

処理を中断するアクティビティ

繰り返し処理の途中で中断させるためアクティビティが、2つ用意されています。

それが、[現在の箇所をスキップ]アクションと[繰り返しを終了]アクションです。

[現在の箇所をスキップ]アクション

繰り返しの処理の中で、ある条件に当てはまったら、それ以降の処理をスキップして次の繰り返し処理に行きたい場合に使います。

スキップするかの条件を指定するため、[条件分岐]とセットで使うことが必須ですね。

[繰り返しを終了]アクション

繰り返し処理自体を終了して、後続の処理に進みます。

終了するかの条件を指定するため、[条件分岐]とセットで使うことが必須になります。

繰り返し処理を覚えることで、処理の効率が一気に向上しますね。

具体的な例を確認したい場合は、こちらの記事をチェックしてみてください。

UiPath StudioXで繰り返し処理の基本【ループって何?な人へ】

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プロジェクトノートブック

プロジェクトノートブック(以降ノートブック)は、プロジェクトを新規作成した時に、自動的に作成されるExcelブックです。

ノートブックの役割は、主に以下の3つです。

  • ノートブックに予め設定値を書き込んでおき、処理中にその値を参照する。
  • 複雑な計算や複雑な文字の加工などをExcelの関数で出力させる。
  • データの一時的な記憶場所として書き込んでおく。

このノートブックが、StudioXとExcelの橋渡しをしています。

StudioXがExcelの機能を流用できるようにしたことで、RPAソフトの中で群を抜いて分かりやすくなったんじゃないかと僕は考えていますが、どうでしょうか。

では、ノートブックの設定について見ていきます。

アクティビティでノートブックの値を利用

ノートブックの値は、アクティビティの設定値や、プロパティの設定値として引用できます。

ノートブックの値にアクセスする方法は3通りあります。

[名前の定義]から選択

ノートブックに[名前の定義]が設定されていれば、アクティビティのメニューに表示され、簡単に選択することが出来ます。

名前の定義とは

Excel(ノートブック)のセルや範囲に名前を設定する機能です。

例えば、セルA1に今日の日付が入っているとします。

この時、A1に"今日日付"という名前を付けてあげると、その名前で参照できるようになりますし、値の意味も分かりやすくなります。

Excel内で示す

ノートブックがExcelで開かれ、参照するセルを直接選択します。

Excelソフトで開かれるので、値を確認しながら選択できます。

また、そのままノートブックの修正も出来るので便利ですね。

カスタム入力

シート名や、セルのアドレスまたは名前が既に分かっている場合、直接その値を入力できます。

ノートブックを開く

StudioXからノートブックにアクセスしやすいよう、リボンに[ノートブック]のアイコンが設置されています。

ノートブックのサンプルシート

ノートブックを開くと、あらかじめサンプルとなるシートが確認できることでしょう。

サンプルとはいえ、実用的な式ばかりですので、載っている値をアレンジするだけでも十分に使えますよ。

[プロジェクト ノートブックについて]シート

ノートブックの使い方について、簡単な解説が記載されています。

[スクラッチパッド]シート

特にルールのない、自由帳的な位置づけのシートです。好きにアレンジOKです。

[日付]シート

月初や月末を計算する式だったり、年、月、日に分解する式などが記載されています。

[テキスト]シート

テキストを空白で区切り、分解した値を取り出す式や、テキストから指定の文字を削除する式が記載されています。

[数字]シート

そのままだと数値として認識できないような値を、数値として認識できるよう修正する式などが記載されています。

[ファイル]シート

ファイルのパスをフォルダ、ファイル名、拡張子などに分割する数式が記載されています。

個人的には、[テキスト]シートの"姓"で組まれている式が「賢いな~」って感心しました。
おぐし

プロジェクトノートブックやサンプルシートについては、こちらで詳しく解説しています。

UiPath StudioXのプロジェクトノートブック1【設定・参照編】

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[名前の定義]の設定

[名前の定義]とは

Excel(ノートブック)のセルや範囲に名前を設定する機能です。

StudioXは、Excelで登録されている名前を、自動的にアクティビティのメニューに表示します。

では、セルや範囲に名前を定義する方法について解説しましょう。

[名前の定義]の登録

登録自体は簡単です。

対象のセルを選択して、[名前ボックス]に名前を入力すれば完了です。

[名前の定義]を確認/編集

名前の定義を編集したい場合は、[数式]タブにある[名前の管理]を開きます。

登録されている名前が一覧表示されますので、対象を選択してから編集してください。

名前の定義は[名前ボックス]から入力、編集したい場合は[名前の管理]からと覚えていれば十分でしょう。

なお、名前の定義について、より詳細な内容をこちらの記事にまとめました。

UiPath StudioXのプロジェクトノートブック2【カスタマイズ編】

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まとめ

この記事では、StudioXを使いこなすには欠かせない、[アクティビティ]、[制御構造]、[ノートブック]と[名前の定義]について解説しました。

前編と後編を通して、StudioXがどんな操作感で編集していくのか、雰囲気が掴めたのではないでしょうか。

この記事で、何か1つでも新しい発見が得られたのなら、僕もうれしいです。

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