自動操作している動作の状態を確認するためのアクティビティが、2つあります。
ひとつは画面のスクリーンショット、もうひとつは操作のターゲットとなっている項目(UI要素)を強調表示する機能です。
これらを利用することで、自動操作途中の状態を把握しやすくなりますね。
この記事では、以下のアクティビティについて解説します。
ユーザー補助のアクティビティ
- スクリーンショットを作成
- 強調表示
- ダウンロードを待機
- ユーザー名/パスワードを取得
スクリーンショットを作成
アプリケーションまたはUI要素のスクリーンショットを作成します。(ガイドはこちら)
リソースに指定したアプリ/Webの画面をスクリーンショットします。
キャプチャとか、プリントスクリーンとも言いますが、つまり表示されている画面をイメージとして保存する機能ですね。
ここでは、以下の項目について解説します。
- 画面上のターゲットを指定
- 出力先
- ファイル名
- 自動インクリメント
- 入力要素
- 出力要素
- エラー発生時に実行を継続
- スクリーンショット作成前の待機時間
- タイムアウト
- 実行前の待機時間
- 実行後の待機時間
- 保存先のファイルパス
画面上のターゲットを指定
スクリーンショットする対象(UI要素)を指定します。
リソースで指定したアプリ/Webの画面全体、あるいは、部分的なUI要素を指定してキャプチャすることも出来ます。
例えば、キャプチャの対象にボタンを指定する場合を見てみましょう。
キャプチャした結果は、以下のようになります。
出力先
画像の保存方法として、ファイルとして保存するか、クリップボードにコピーするかを選択します。
ファイル | クリップボード |
![]() |
![]() |
上図のように、選択によって表示される項目が変わります。
それぞれ見ていきましょう。
ファイル
キャプチャした画像を、ファイルとして保存します。
ファイル名
保存するファイル名を指定します。
初期値では"screenshot.png"となっていますが、このようにフォルダのパスが省略されている場合は、プロジェクトフォルダ内へ保存されます。
プロジェクトフォルダを開きたい場合は、リボンから開くといいでしょう。
本題に戻りますが、保存するファイル名を変更する場合は、[Browse for File]ボタンをクリックします。
ちなみに、保存するファイルの画像形式は、PING形式となっています。
ですが、他の拡張子にすることで、別の画像形式で保存が可能です。
以下5つのファイル形式で保存可能なことが確認出来ました。
- BMP
- GIF
- JPG
- PNG
- TIFF

自動インクリメント
ファイル名に数値または日時を付与することで、キャプチャを保存します。
なし(上書き)
[ファイル名]に指定したファイル名で保存します。
括弧にあるとおり、既に同じファイル名が存在する場合は上書きされます。
インデックス
[ファイル名]に、数値を追加して保存します。
最初は数値なしで、その後は括弧書きでナンバリングされていきます。
screenshot.png ↓ screenshot (1).png ↓ screenshot (2).png ↓ ・・・ |
YYYY.MM.DDatHH.MM.SS
[ファイル名]に、日時を追加して保存します。
"インデックス"と同じように、最初は日時なしのファイル名になります。
screenshot.png ↓ screenshot 2021.11.16 at 00.59.54.png ↓ screenshot 2021.11.16 at 01.00.32.png ↓ ・・・ |
クリップボード
キャプチャした画像を、クリップボードに保存します。
ここで引っ掛かるのが、クリップボードに保存された画像をどうやって出力するのか、でしょう。
StudioXでは、クリップボードを制御する専用のアクティビティはありませんが、[キーボードショートカット]アクションを使う事で、WordやExcelなどへ貼り付けることが可能です。
入力要素
他のアプリ/Web系アクティビティで参照した項目(UI要素)と、同じものを利用したい場合に指定します。
この項目を使うためには、予め別のアプリ/Web系アクティビティで[出力要素]を指定しておく必要があります。
ここでポイントがひとつ。
ガイドに記載されている話になりますが、[項目を選択]アクションだけだと、選択できない場合があります。
それを回避する手段として、まずコンボボックスを[クリック]してください。
このときに、[クリック]アクションの[出力要素]で指定した名前を、[項目を選択]アクションの[入力要素]で参照するといいでしょう。
出力要素
[スクリーンショットを作成]アクションで指定した項目(UI要素)を、他のアクティビティで参照するため、名前を付けて記憶します。
エラー発生時に実行を継続
チェックON(True)にすると、項目の選択に失敗しても処理を継続し、次のアクティビティを実行します。
失敗したとき、次のステップへ進めても問題ない場合は、チェックON(True)にしておきましょう。
スクリーンショット作成前の待機時間
例えば、アプリ/Webを複数操作している場合、キャプチャの対象が他のアプリ/Web画面の後ろに隠れてしまうこともあります。
そうなると、欲しい画面のキャプチャが撮れませんよね。
そのため、キャプチャを撮る前に、まず対象のアプリ/Webを前面に移動する仕組みになっています。
[スクリーンショット作成前の待機時間]は、アプリ/Webを前面に移動した後から、キャプチャするまでの間隔を指定します。
"1.5"のように、小数点以下の指定も可能です。
既定値は0.2秒です。
タイムアウト
対象のUI要素が認識するまで、待機する時間です。
既定値は30秒です。
指定時間内にUI要素が認識できなかった場合は、エラーとなります。
実行前の待機時間
ひとつ前のアクティビティから、アクティビティを実行するまでの間の、待機する時間を指定します。
"1.5"のように、小数点以下の指定も可能です。
既定値は0.2秒です。
ここで、[スクリーンショット作成前の待機時間]との違いを説明しておきましょう。
名前が長いので、便宜上[スクショ前待機時間]と記述します。
[スクリーンショットを作成]アクションの動作を分解すると、「①対象を前面に移動する」、「②キャプチャする」、の2アクションを実行します。
[実行前の待機時間]は、前のアクティビティから①までの時間です。
対して[スクショ前待機時間]は、①から②までの時間を指します。
実行後の待機時間
項目を選択した後から、次のアクティビティを実行するまでに、待機する時間を指定します。
"1.5"のように、小数点以下の指定も可能です。
既定値は0.3秒です。
保存先のファイルパス
[保存先]が"ファイル"である場合に使用します。
キャプチャを保存した画像のファイルパスを、名前を付けて記憶します。
例えば、[自動インクリメント]を設定している場合に、どのようなファイル名になっているかを確認することができます。
キャプチャの画像ファイルを、他のアクティビティで使用する場合などにも、ファイルパスが必要になりますね。
実行後のメッセージは、以下のように表示されます。
強調表示
選択したUI要素を強調表示します。(ガイドはこちら)
アクティビティで指定している項目(UI要素)を、視覚的に分かるよう枠で囲みます。
以下は、[Get Unicorn Name]ボタンを指定した例です。
ボタンが"Gold"色の枠で囲まれていますね。つまり、これが強調表示です。
ここでは、以下の項目について解説します。
- 画面上のターゲットを指定
- 継続時間
- 色
- 入力要素
- 出力要素
- エラー発生時に実行を継続
- タイムアウト
- 実行前の待機時間
- 実行後の待機時間
画面上のターゲットを指定
強調表示する対象(UI要素)を指定します。
リソースで指定したアプリ/Webの画面内にあるUI要素を指定出来ます。
継続時間
強調表示する時間の長さを指定します。
初期値は2秒で、ドロップダウンから他の時間を選択できます。
直接数値を入力することも可能で、小数点以下の指定も可能です。
色
UI要素を囲む枠の色を指定します。
初期値は"Gold"で、その他174種類のカラーから選択できます。
色を、RGB値で指定することも可能ですね。
RGB値とは、赤緑青を、それぞれ0~255の範囲で数値化した表現で、"赤の値, 緑の値, 青の値"という形式で指定する方法です。
例えば、"255, 255, 0"であれば■黄色、"0, 0, 0"だと■黒になります。
入力要素
他のアプリ/Web系アクティビティで参照した項目(UI要素)と、同じものを利用したい場合に指定します。
この項目を使うためには、予め別のアプリ/Web系アクティビティで[出力要素]を指定しておく必要があります。
出力要素
[強調表示]アクションで指定した項目(UI要素)を、他のアクティビティで参照するため、名前を付けて記憶します。
エラー発生時に実行を継続
チェックON(True)にすると、項目の選択に失敗しても処理を継続し、次のアクティビティを実行します。
失敗したとき、次のステップへ進めても問題ない場合は、チェックON(True)にしておきましょう。
タイムアウト
対象のUI要素が認識するまで、待機する時間です。
既定値は30秒です。
指定時間内にUI要素が認識できなかった場合は、エラーとなります。
実行前の待機時間
ひとつ前のアクティビティから、アクティビティを実行するまでの間の、待機する時間を指定します。
"1.5"のように、小数点以下の指定も可能です。
既定値は0.2秒です。
実行後の待機時間
項目を選択した後から、次のアクティビティを実行するまでに、待機する時間を指定します。
"1.5"のように、小数点以下の指定も可能です。
既定値は0.3秒です。
ダウンロードを待機
ユーザーに任意のアプリケーションからのファイルダウンロードを許可し、ダウンロードが完了するまで待機します。ファイルがダウンロードされると、ワークフロー内でファイルの次の処理に進みます。(ガイドはこちら)
ファイルのダウンロードを監視し、完了するまで待機します。
また、完了後のファイルの情報を取得できます。
監視する対象は、主にWebブラウザーですが、アプリケーションにダウンロード機能がある場合にも利用できますね。
ここでは、以下の項目について解説します。
- ダウンロードを開始するアクティビティ
- 監視対象のフォルダー
- ダウンロードされるファイル
- タイムアウト
ダウンロードを開始するアクティビティ
ダウンロードを開始するトリガーとなるアクティビティを、指定します。
例えばよくあるのは、"ダウンロード"と表示されているリンクやボタンをクリックした時にダウンロードが始まることが多いでしょう。
この場合は、[クリック]アクションを追加します。
アクティビティの追加は1つのみにしてください。
監視対象のフォルダー
ファイルがダウンロードされる、保存先のフォルダーを指定します。
初期値で、Webブラウザーのダウンロード先があらかじめ指定されています。
保存先が違う場合は、適宜変更してください。
ダウンロードされるファイル
ダウンロードしたファイルの情報に、名前を指定して記憶します。
保存した名前には、複数の情報が格納されていますね。
タイムアウト
ダウンロードが完了するまでの、待機する時間を指定します。
未指定(空白)の場合は300秒です。
ダウンロードが300秒以上かかるような場合には、値を入力するといいでしょう。

ユーザー名/パスワードを取得
ユーザー名およびパスワードを安全に保存し読み込みます。(ガイドはこちら)
予め登録しておいたユーザー名とパスワードを取得し、ログイン画面などで利用します。
ユーザー名/パスワードを登録できる箇所は、PC上(資格情報マネージャー)とオンライン上(Orchestrator)の2つから選択できます。
[資格情報ソース]の選択で、使われる項目や動作が異なるので、それぞれ別に解説します。
- 資格情報マネージャー(ローカル)
- 自動送信までのタイムアウト(秒)
- Orchestrator
- 資格情報の参照(アセット名)
- Orchestratorのフォルダー
- タイムアウト(秒)
- 後で使用するために次の名前で保存
[資格情報ソース]="資格情報マネージャー(ローカル)"
PC上の資格情報マネージャーから値を参照することはもちろん、アクティビティ上から資格情報の追加/更新/削除ができます。
資格情報の参照
[保存されている資格情報]から、参照する資格情報を選択します。
資格情報の編集
[管理]ボタンをクリックして、資格情報を編集します。
資格情報の追加手順は以下のとおり。

自動送信までのタイムアウト(秒)
自動化処理を実行すると、以下のような画面が10秒間表示されます。
表示されている間、必要に応じてユーザー名やパスワードを編集できます。
ただ、編集することがないのであれば、10秒は長いですよね。
そんなときは、[プロパティ]パネルから値を"0"に設定するといいでしょう。
[資格情報ソース]="Orchestrator"
Orchestrator上に登録した資格情報アセットから値を取得します。
オンライン上でユーザー名/パスワードを管理するので、複数のPCで共有できるメリットがありますね。
(準備)Orchestratorへ資格情報を登録
まずは、Orchestratorに資格情報を登録しておきましょう。
今回は、Orchestrator上にある自身のワークスペースフォルダの中に、”サンプル資格"という名前で作成します。
資格情報の参照(アセット名)
Orchestratorに追加した資格情報の名前を、[アセット名]に指定します。
Orchestratorのフォルダー
Orchestratorの違うフォルダー、例えば"Shared"のアセットを参照する場合は、プロパティの[Orchestratorのフォルダー]にフォルダー名を入力してください。
もしくは、StudioX右下のメニューを切り替えることでも、対象フォルダーのアセットを参照できますね。
補足(リソースパネル)
Orchestratorに登録されているアセット情報は、[リソース]パネルに表示されていますので、こちらを参照すると便利です。
から、Orchestartorのアセットにリンクできます。
ver2021.4.4ではアクセスに失敗していましたが、2021.10.5以降で解消していることを確認しました。
タイムアウト(秒)
Orchestratorのアセット値取得までの、タイムアウトの時間を指定します。既定値は30秒です。
後で使用するために次の名前で保存
ローカルとOrchestrator共通に使用する項目ですね。
参照したユーザー名/パスワードを、他のアクティビティで使うため、保存する名前を指定します。
保存した名前を参照するときは、[ユーザー名]と[パスワード]に分けて呼び出すことができます。
まとめ
ここで紹介したアクティビティを上手く使うことで、組んだロジックの不具合(いわゆるバグ)を見つけやすくなります。
おそらく[Write Line]アクションと共に、デバッグ用として活用することが多いことでしょう。
まとめます。
まとめ
- [スクリーンショットを作成]では、保存する画像形式を変更できる。
- [強調表示]は、枠の色指定をRGBで指定できる。
この記事で、何か1つでも新しい発見が得られたのなら、僕もうれしいです。